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絶対王政をわかりやすく解説

ざっくり要点
  • 国王が圧倒的に権力を持つ体制のこと
  • 16~18世紀の西ヨーロッパ各国で見られた

絶対王政とは?

絶対王政とは、国王(君主)が絶対的な権力をもつ政治形態のことです。16~18世紀の西ヨーロッパで形成されました。

絶対王政の特徴

「国王がめちゃくちゃ偉い」の他に、絶対王政には以下のような特徴があります。
絶対王政の特徴

官僚制

官僚とは、国王の補佐係にあたる役職です。国王が命令を出したあと、政策を検討・実施するのは官僚たちです。


常備軍

国家は常備軍を設置し、常に軍隊を備えておきました。大国同士の大規模な戦争が増え始めていたので、戦争の度に兵士を募るよりも効率的でした。


重商主義

重商主義は「自分たちの国をお金持ちにしよう」という考え方です。官僚に給料を払ったり、常備軍を維持するのにお金がかかるので、財源確保のために重商主義政策をとる必要がありました。
重商主義は、重金主義(植民地から金を獲ってくる政策)と貿易差額主義(輸出を増やして輸入を減らし、その差額で儲ける政策)の2つから成ります。


王権神授説

王権神授説とは、「国王の権力は神から授けられたものだ、だから国王に逆らってはいけない!」という思想です。国王が自らを神格化することで、絶対王政を正当化しました。

なぜ絶対王政は始まった?

絶対王政が生まれた当時のヨーロッパ社会を確認しておきましょう。
なぜ絶対王政は始まった?
  • 都市の発展により、市場を統一する権力が望まれた。
  • 大規模戦争の増加により、リーダーシップのある行政組織が必要になった。

都市の発展

絶対王政が始まった背景には、都市が発展したことがあります。中世の時代、十字軍の影響で西ヨーロッパで遠隔地貿易が活発になり、商工業と貨幣経済が発展しました。その結果、西ヨーロッパでは都市が急速に発展しました。各都市は、市場を拡大するために統一的な権力の出現を望んでおり、各国の王権強化を促しました。

戦争にうってつけ

14~15世紀の百年戦争では、イギリスとフランスが激しく戦いました。このような大規模戦争の軍事費を調達するためには、統一権力がリーダーシップをとり、国民から税をしっかり徴収する必要があります。その点で、絶対王政は戦争向きの政治体制と言えます。中世後半になるとヨーロッパ各地で大規模戦争が増加し、各国の国王は権力を伸ばしました。

ヨーロッパ各国の絶対王政

西ヨーロッパ各国の絶対王政の中身をざっと見ていきましょう。

スペイン

スペインは大航海時代を経て世界帝国に急成長し、レパントの海戦ではオスマン帝国を破るなどしました。植民地が世界中にあることから、絶頂期には「太陽の沈まぬ国」として称えられました。

イギリス

イギリスの絶対王政は、16世紀後半のエリザベス1世の重商主義政策のもとで栄えました。アルマダの海戦ではスペインの無敵艦隊を破り、スペインに代わって世界の覇権を握りました。

フランス

フランスは、17世紀半ばにブルボン朝のもとで絶対王政が全盛期を迎えました。ルイ14世はヴェルサイユ宮殿を建設するなど威厳を高め、「太陽王」として君臨しました。18世紀末のフランス革命によって王政は打倒され、共和政に移行しました。

絶対王政の終焉

絶対王政は法律で守られた体制ではありません。あくまで王権神授説で正当化されているに過ぎない思想です。
18世紀頃からは人権や市民権を重んじる思想が発達し、「王権神授説って微妙じゃない?」という風潮になっていきました。
そしてフランス革命やアメリカ独立革命といった「市民革命」によって絶対王政は崩壊し、国家の主権が「王」から「国民」へと渡っていきました。