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中世ヨーロッパにおける都市の成立をわかりやすく解説

自治都市の誕生

領主支配からの脱却

前回は商業ルネサンスについて解説しましたね。十字軍の遠征をきっかけに商業活動が活発になったことで、西ヨーロッパでは都市が発達しました。11~12世紀以降、これらの都市は続々と自治権を獲得し、自治都市になっていきました。
自治権ってなんですか?

独立権みたいなものです。それまでの都市は封建領主の支配を受けていましたが、商業ルネサンスを経て発言力を強めた都市が「もう俺たちは領主に支配されない!」と独立していったのです。自治都市のことをイタリアでは「コムーネ」、ドイツでは「自由都市(帝国都市)」と呼びました。
※封建領主…ヨーロッパ中世の封建社会における支配階級。

同盟

次々に自治都市が生まれ、やがて利害が一致する自治都市同士で同盟が組まれるようになりました。有名なものに、北イタリアのロンバルディア同盟、北ドイツのハンザ同盟などがあります。
同盟が結成された理由
  • 商人の海外進出にともなう商圏の防衛、特権の確保
  • 商圏の拡大
  • 周辺の領主への対抗 etc
世界遺産
街

ハンザ都市リューベック

生活必需品の取引で栄えたドイツの都市。北海・バルト海交易で独占的な地位を築いたハンザ同盟の盟主でもあった。

ギルド

都市の空気は人を自由にする

当時、ドイツの荘園で働く農民には自由がなく、苦しい生活を強いられていました。やがて自由を求める農民たちが荘園を脱出し、都市に流入するようになりました。都市に逃げ込んだ農民は1年と1日住めば自由身分になると法律で定められており、荘園の領主が無理矢理連れ戻すことはできませんでした。
農民と領主の壮大な鬼ごっこですね。

このことから、「都市の空気は人を自由にする」ということわざが生まれました。
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商人ギルド

ところで、自治都市の行政は誰が主導したんですか?都市だから国王はもちろんいないし…

そうですね。自治都市の運営の基礎になった組織がありました。それが「ギルド」と呼ばれる同業組合です。その中でも政治を独占したのが、商人たちで結成された商人ギルドでした。中世西ヨーロッパにおける都市の成立、発展は交易によるものでしたから、商人の地位が高かったのです。
ギルドの特徴
  • 自由競争の禁止
  • 商品の品質・規格・価格などを細かく統制
  • 非組合員の商業活動禁止
こう見ると、ギルドって結構厳しいんですね。

ギルドによって組合員の生活は安定しましたが、のちの経済や技術の自由な発展を妨げたとも指摘されています。

同職ギルド

政治を独占する商人ギルドに不満を募らせた手工業者たちは、職種別に同職ギルド(ツンフト)を結成しました。彼らは商人ギルドとツンフト闘争を行い、政治への参加を実現していきました。
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